新しい、自由設計型の生命保険

最近、ユニバーサル保険と呼ばれる、新しい自由設計生命保険が日本で相次いで発売されはじめています。ユニバーサル保険は、積立貯蓄をベースに、一年ごとに自由に変更できる定期保険を付加した生命保険です。まず、必要な死亡保障額と、支払う保険料を決めます。毎月の支払保険料を2万円として、必要な死亡保障額に必要な費用が1万円とすれば、差額の1万円を積立として蓄えることができます。一年ごとで、必要な保障額を減らし、その保障に必要な費用が少なくなれば、今度はさらに差額を積立てにまわすことが出来ます。必要に応じて、保険金と支払保険料を自由に変更したり、払込停止や再開等ができるわけです。これまで、自由設計型の生命保険は、アカウント方式の生命保険がありました。アカウント型の生命保険は、積立貯蓄(アカウント)をベースに、必要な定期保険等を乗せていくことになります。払込保険料から、定期保険等の保険料を差し引いた残りを積立貯蓄に蓄えることになります。この積立貯蓄をベースに、後になって定期保険等の追加変更を自由に行えますし、積立金の出し入れも自由で、積立貯蓄の残高を保険料に充当して逐次取り崩すことも可能となっています。ユニバーサル保険の場合、まとまった金額を一時金として積み立てたり、逆に、住宅などの大きな買い物のために、まとまった金額を引き出すこともできます。払い込みの停止・再開なども自由にでき、大きな保障が不要になったら、積立金を年金として受け取ることも可能です。ライフプランの変化にあわせ、生命保険を見直しできるのが特徴でしょう。通常の生命保険の場合「1000万円の保険金に対し、毎月5000円の保険料」というように、基本的に保険金を基準に保険料が計算されます。例えば「保険金を500万円に減らしたい」という希望があれば、生命保険会社はそれを受けて500万円の契約に変更します。その際、同時に保険料も再計算されて変更されます。ユニバーサル保険の場合、積立部分と保障部分が明確に分けられています。このため、いくらの保険金に対し、いくらの保険料、という考え方ではなく、毎月いくらの保険料を積み立てて、積立金から毎月いくらを保険料に適用する、という考え方なわけです。ユニバーサル保険のポイントは、保障額や保険料を契約者が自由に毎年変更できるところです。アカウント型は、積立貯蓄と、複数の生命保険契約の集合体です。個別契約を見直さなければ保障内容は変更できません。これに対し、ユニバーサル保険は、保障内容の変更が自由で、内容変更に際して生命保険契約が変わることはありません。ユニバーサル保険は保障内容の変更が自由な生命保険契約というわけです。このユニバーサル保険が更に広まれば、アカウント型商品はいずれは無くなっていくものと見られています。

日本の生命保険会社の今後

生命保険協会が発表した協会加盟38社の2006年4月〜11月の保険料収入を見ると、18兆211億円で、前年同月比0.1%減とほぼ横ばいになっています。全体の収入としては伸び悩んでいるのが現状のようです。日本損害保険協会が発表した損保協加盟22社の2006年9月中間期の正味収入保険料は、3兆7883億円で、前年同期比0.8%増えています。大手損害保険6社合計の2006年4月〜12月の収入保険料でも、4兆9054億円と、前年同期比0.7%増になっています。これは、景気回復もあり、輸出入の際にかける保険などの引き合いが多くなっていることが背景にある、としています。しかし、マスコミでも大きく騒がれた、保険業界で大量に発覚した保険金不払い問題の影響から、業務改善に向けて法令順守体制の強化を優先していることがあり、新規契約の獲得数は伸び悩んでいるのが実情のようです。最近の生命保険業界は、日本の生命保険会社の経営破綻が相次ぐ中で、生損保とも、外資系企業がの健闘が注目されます。とくに1998年4月の金融ビッグバン以降、自由化が進み、外資系保険会社が自動車保険や第3分野(傷害・疾病・介護保険などの生損保の中間)で独自の商品を販売し、急速な伸びを見せています。ドライバーの運転の安全性を考慮した自動車保険がその代表でしょう。テレビや新聞広告で大々的にPR活動を行い、電話1本で簡単に相談・契約できるようなシステムもあり、一気に広がりました。これが、日本の損保の自動車保険の商品見直しにも繋がることとなりました。また、外資系企業による日本の生命保険会社買収の動きも進んでいます。こうした中、外資系生命保険会社の中で最大規模の会社は、総資産3兆円を超え、がん保険で9割のシェアを占めるようになっています。1974年10月に設立され、同年11月に日本で最初にがん保険を発売し、現在は、日本の生命保険会社と提携して、介護保険でも独走状態となっています。また、早くから女性の戦力化を手がけており、女性活性化企業としても知られています。一方で、「県民共済」や「都民共済」などの「都道府県民共済」の加入件数が伸びています。一般の生命保険にあたる「生命共済」は、今や、生命保険会社の最大手を上回るくらいにまでなっています。保険金の不払いなどで大手生命保険会社が軒並み契約者を減らす一方、月1000—4000円の割安な掛け金で支持を得ているのです。県民共済などの都道府県民共済の良いところは、やはり、掛け金が安いということと、払い戻しがあるという部分でしょう。単純で分かりやすいというのが、共済の魅力です。生命保険会社も、今後、こうしたところも見直すのが課題かもしれません。

最近の生命保険業界の動き

生命保険は、通常、積み立てから給付までの期間が長期にわたることが多いものです。経済情勢の変化等に対応しながら、安全性、収益性、流動性の原則に基づき、契約者から受託した資産から、より多くの運用収益の獲得を目指すのが生命保険会社の理想的姿、といったところでしょう。生命保険会社の資産運用は大きく分けて、有価証券、融資、不動産の三つが対象ですが、それぞれの市場リスク、信用リスク、不動産投資リスクを、適切にコントロールすることが重要な経営課題でもあります。わが国には約40社の生命保険会社があります。グループ的には、国内の生命保険会社の他に、外資系を中心とするグループ、損害保険会社系列のグループに分けられます。最近の外資系・損保系各社は、TVCMなどによる積極的な宣伝活動、こまやかなコンサルティング営業を売り物にした地道な戦略などにより、新しい商品の開発・導入、顧客ニーズの細分化・差別化を進めています。これに対応するように、国内の大手生命保険会社も、生前給付型の医療保険をメイン商品に、「医療終身保険」や「生活習慣病保険」など、これまでは外資系生保に先行されがちだった医療保障の分野で、様々なヒット商品を市場に出しています。保険金未払い問題などの影響で,各保険業界とも信頼回復に向けてPR活動を行っていますが、その中で、損保では、日本損害保険協会が、契約者に対して保険の内容がニーズに合っているかを確認する「意向確認」について、消費者の理解を促進するテレビCMの放映も行い始めました。個人情報保護法の施行により、生保レディーのオフィスへの立ち入り制限が厳しくなっていることに対応し、生命保険各社は来店型店舗の開設を進めています。特に若い人をターゲットに、気楽に、待ち合わせの場所としても利用できるようなオープンな雰囲気の店舗作りが特徴のところが多く、セミナーなどの開催も行っていきます。銀行の窓口での保険販売も解禁されようとしていますが、生命保険業界からは、銀行による押し付け販売や顧客情報の流出などの問題を指摘する声もあり、今後も議論が続くものと見られています。最近は、生命保険業界で、女性社員による商品開発に注目が集まっています。生命保険会社の社員は、特に商品開発部門は男性社員が中心ですが、現場で商品を販売する営業部門は “生保レディー”と呼ばれる女性社員が中心です。女性の視点で開発した商品に対しては、生保レディーから「販売しやすい」と支持する声が多く、開発と営業の相乗効果につながっています。